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読書記録:『嘘と正典』

1月の読書記録


1月は9冊の本を読んだ。
今回はその中の1冊を紹介しようと思う。

(※最初は全て紹介しようと思ったが、やっぱりやめた。ポンコツなのでしょうがない。)

 

今回紹介する本はこちら👇

 

 

第162回直木賞候補作
マルクスエンゲルスの出逢いを阻止することで共産主義の消滅を企むCIAを描いた歴史改変SFの表題作をはじめ、零落した稀代のマジシャンがタイムトラベルに挑む「魔術師」、名馬スペシャルウィークの血統に我が身を重ねる青年の感動譚「ひとすじの光」、音楽を通貨とする小さな島の伝説「ムジカ・ムンダーナ」など6篇を収録。圧倒的な筆致により日本SFと世界文学を接続する著者初の短篇集。
Amazon商品ページより引用)

短編集を普段あまり読むことが少ないが、短編集には「それぞれ違う物語だけれども同一の“テーマ”を扱っている」というパターンもあるということに最近気づいた。

 

なので、「この本も何かテーマがありそうだ」と探りながら読んだ。

 

この短編集の場合はおそらく「時間(過去と現在のつながり)」がテーマとなっている。

 

そういう意味では、ちょうど「競馬」の“血統のロマン”について、「かつて競馬にハマっていた」という人にその魅力を熱く教えてもらったタイミングだったこともあり、『ひとすじの光』という競走馬にまつわる話がとても印象に残った。

 

「競馬は“ギャンブル”ではない!連綿と続く血統のストーリーを楽しむ“推し活”だ!!」

 

というその人の主張が、この物語を通してよく伝わってきた。

 

Amazonレビューを見ていると、この『ひとすじの光』について

何が面白いのかわからない。競馬好きかゲームのダビスタやった人じゃないと興味を持てないのでは?

というコメントをしている人がおり、自分はすごく良いタイミングで良い話(競馬について)を聞かせてもらっていたからこそ、この話を楽しめたのだと感じた。

 

「雑談」って大切ね♡

 

他の短編も、自分好みのテーマの作品(『嘘と正典』や『時の扉』)が多く、全体的に満足感を感じる一冊だった。

 

 

個人的にはなぜか『魔術師』という話に一番興味をひかれた。

 

読後の奇妙な感覚は

「嫌いではない」

といった感想だった。

 

自分が「嫌いではない」と感じた場合、その時点で「好きになっているけれども自分ではその理由がよくわからない」ということの裏返しなのである。

 

「よくわからないけど、なんか好き」

 

というものに出会えたとき、なんとなく幸せを感じる。

 

そんな感覚に気づかせてくれた一冊。